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初の開会式順延は94年前 第6回大会の珍事3連発

初の開会式順延は94年前 第6回大会の珍事3連発

9日に阪神甲子園球場で開幕予定だった第96回全国高校野球選手権大会。日本列島を縦断した台風11号の影響で、前代未聞の2日連続全試合中止という異例の事態となった。長い歴史を誇る夏の甲子園大会でも、開幕から2日間の順延は史上初の珍事である。

しかし甲子園大会の歴史を遡ると、過去に2度だけ開会式が順延となった年がある。1度目は1920(大正9)年の第6回大会、2度目は1960(昭和35)年の第42回大会で、今年は3度目のケースとなる。さらに歴史をひも解くと、1度目の第6回大会は、様々な意味で歴史に残る大会であったことがわ かった。今回は今から94年前に行われた、第6回大会に注目してみよう。

◎甲子園を目指す戦いではなかった……

歴史に残るといえば、この第6回大会から樺太を含む北海道大会がスタート。前年までの14の予選地区がひとつ増えて、合計15地区で地方大会が行われた。

北海道地区の栄えある初代表を勝ち取ったのが北海中(現北海高)だ。現在まで全国最多となる35回の夏の甲子園出場を記録している北海高の記念すべき第1回目の出場は、この第6回大会であった。ちなみに当時はまだ甲子園球場が完成しておらず、全国大会は鳴尾球場で行われていた。

◎決勝戦は現在までの最多得点、最多得点差記録!

第6回大会の決勝戦に駒を進めたのが、関東地区代表の慶應義塾普通部(現慶應義塾高)と、兵庫地区代表の関西学院中(現関西学院高)。試合は17-0という圧倒的大差で、関西学院中が優勝した。この点差は2008(平成20)年、第90回大会決勝で大阪桐蔭高(大阪)が常葉学園菊川高(静岡)に17-0で 勝利したスコアと並んで、決勝戦の史上最多得点、史上最大得点差記録として現在まで残っている。

◎選手たちの間で“ある病気”が流行!?

また第6回大会では、選手間である病気が流行っていた。脚気(かっけ)とよばれる膝などの関節痛で、ビタミン不足などがその原因であった。当時は白米が主食で、副食をほとんど摂らない食生活がこの病気を流行らせていたようだ。

鳥取中(現鳥取西高)の捕手・坂本浩三は持病の脚気に苦しみ、大会に勝ち進むにつれて痛みが酷くなり、準決勝戦ではキャッチャーフライを追いかけることも できなかったという。しかし、鳥取中のメンバーはなんと10人しかいない。さらにエース・西村豊の剛速球を受けることができるのが、坂本しかいなかったのだ。

こうした理由で前代未聞の珍ルールが設けられた。坂本が打席に入り一塁へと走る際には、坂本のすぐ横に立つ代走者が一塁に向かって走るという、今では考えられない試合が行われた。

もちろんこれは、相手チームが認めて初めて成立するルール。病気をおして奮闘する坂本に敬意を表し、特別ルールを認めたのが、前述した優勝チームの関西学院中であった。

 

・2014年8月11日 スポニチアネックス提供記事

http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2014/08/11/kiji/K20140811008726230.html

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