◎アラフィフライターによる濃厚な「1番打者論」
2021年7月5日、『野球太郎』本誌でもおなじみの野球ライター、ハリケンこと服部健太郎氏、谷上史朗氏、キビタキビオ氏によるオンラインセミナー『野球太郎ライターによる“打順考論”』の第2回が開催されました。
第1回は「今季の打順」や「2番打者」について盛り上がりましたが、今回は「1番打者」に的を絞ったトークを展開。3氏の「1番打者論」を披露してもらいました。
◎今季のベスト1番打者は誰だ!?
すでにシーズンの半分を消化。現時点で今季の12球団の「1番打者」で誰がベストなのか、3氏が見解を語りました。
ハリケン氏が選んだのは「積極的かつ球数が稼げる」という理由で松原聖弥選手(巨人)。打ち損じがファウルになることが多く、昨季は相手投手に投げさせた球数がチームナンバーワンでした。
「強く振ってファウルにできる点が積極的といえる。さらに今年はスイングが強く、ホームランも増えている。巨人のレギュラーに相応しいメンタルの強さも持ち合わせているので、将来性も含めてナンバーワンに推しました」(服部氏)
谷上氏は福田周平選手(オリックス)をイチオシ。
「オリックスの今年の強さは福田を1番に固定できたことが大きい。福田も松原と同様に球数を稼げる上に、四球も多く出塁率が高い。吉田正尚に次いでチーム2位、4割超の出塁率がある。簡単にはアウトにならない。広陵高校、明治大学、NTT東日本と名門を渡り歩いた経験がプレーに出ていますよ」(谷上氏)
キビタ氏は荻野貴司選手(ロッテ)。
「本当は秋山翔吾(レッズ)がベストですが、現在のNPBで挙げるとすれば、荻野貴司。左投手を苦にしない点、そして単独盗塁でチャンスを広げられる点が優秀です。特にパ・リーグではチャンスで打順が回ってくるケースも多い。そこでチームもファンも熱くなれるような選手が好みですね」(キビタ氏)
3氏の意見が一致したのは、やはり「仕事ができる1番打者がいい」という点。その他にも「打率は低いが、西川遥輝(日本ハム)は追い込まれてからしっかり粘って出塁率を稼いでいる。さすが」と谷上氏は評価していました。
◎歴代のナンバーワンは誰だ!?
続いて話題は歴代のNo.1トップバッターへ。アラフィフライター陣の長年の観戦歴から絞り出してもらいました。
子どもの頃から大の巨人ファンのハリケン氏は、柴田勲選手(元巨人)を挙げました。
「スイッチヒッターの草分け。松原のように強いファウルを打つタイプではありませんでしたが、じっくりとボールを選び、ドラッグバントもうまく、盗塁もできる。3番・王(貞治)、4番・長嶋(茂雄)に繋がるV9打線を支えた存在です。右打席では意外なパンチ力もあり、ワクワクしました」(服部氏)
谷上氏が掲げたのは世界の盗塁王・福本豊選手(元阪急)。
「2543安打、1065盗塁、二塁打も449本、三塁打も歴代トップの115本。四球も歴代8位の1234個。左も永射保(元太平洋ほか)以外は苦にしなかった。これ以上の1番打者はいないでしょう」(谷上氏)
キビタ氏は松井稼頭央選手(元西武ほか)を推挙。
「右打席も左打席も変わらないスタイルのスイッチヒッター。現代的な1番打者の領域を切り拓いた選手です」(キビタ氏)
阪急の2番・大熊忠義選手と福本選手の関係や裏話も飛び出し、濃厚な「昭和パ・リーグ」論議も盛り上がりました。
◎侍ジャパンのベスト1番打者は?
最後に東京五輪に向けた最強の1番打者を検討。
「やっぱり出塁率から柳田悠岐(ソフトバンク)。長打力ももちろんあるし、中軸を任せられる打者が他にもいるので柳田でしょう」(服部氏)
「僕も柳田を推したいですね。走れる足があるのも大きい。そこそこ走れる浅村栄斗(楽天)を2番に置けば、併殺も防げる可能性が高いです」(キビタ氏)
「足に目をつぶれば、吉田正尚(オリックス)も面白い。塁に出る能力なら断トツ。8~9番に俊足タイプを置けば、2巡目以降も期待できる」(谷上氏)
1番を含め、誰をどのポジションで、何番で起用するか、トップの選手が集まり、なんでもできるからこそ、それぞれの野球観も出る侍ジャパン編も興味深い内容でした。
大いに白熱した1番打者論。次回もお楽しみに!
※次回は8月下旬あたりの開催予定です。