67勝73敗4分でセ・リーグ4位に終わった中日。谷繁元信プレーイングマネジャーのもと、奮起を誓った今シーズンだった。しかし、結果は2年連続Bクラスと振るわず、オフには10選手に戦力外通告を行い、チーム改革を進める姿勢がうかがえる。さて、今年のドラフト会議では落合博満GMのもと、どんな戦略を仕掛けてくるのか、興味は尽きない。
中日のドラフト戦略といえば、昨年は驚きの指名を敢行。2位で又吉克樹(香川オリーブガイナーズ)を指名し、独立リーグ史上初となる上位指名に、会場を大いに驚かせたのは記憶に新しいところだ。
たくさんの選手がいる中で、2014年度に24歳となる又吉を2位指名するとなれば当然、即戦力投手と大いに期待しての指名だ。しかし、実戦慣れしているものの、中央球界では無名に近い又吉には荷が重いのでは……と、素直に期待できないファンも多かっただろう。
ところが、又吉は、ルーキーながらチーム2位の登板数となる67試合に登板。9勝1敗34ホールドポイント、防御率2・21と、素晴らしい成績を収めた。中日のスカウトは「どんなもんだ」とばかりに、胸を張ったはずだ。
それでは、今年のドラフトにも、かつての角中勝也(ロッテ)や又吉のような逸材は眠っているのか。独立リーグ3団体のドラフト候補生を紹介しよう。
◎四国アイランドリーグplus
即戦力として期待がかかるのは、徳島インディゴソックスの入野貴大だ。最速153キロのストレートが武器の右腕で、今季は16勝3敗2セーブと、最多勝を獲得。現在26歳でドラフト的にはラストチャンスかもしれないが、本格的に投手に取り組んだのは独立リーグ入りしてからと、伸びしろも残っている。同じ徳島インディゴソックスの山本雅士も、即戦力右腕として注目を集めている。こちらは最速146キロのストレートと、変化球のコンビネーションで、三振が奪える投球が魅力だ。
また香川オリーブガイナーズの篠原慎平と、寺田哲也の両右腕も注目株。篠原は力で押すパワーピッチングが持ち味で、寺田は経験と安定感がある投手。また、寺田はBCリーグでも好成績を収めていたが、27歳となる今年、一念発起し、四国へやってきた。最後のプロ入りのチャンスを待つ。
野手では徳島インディゴソックスの3選手に注目。松嶋亮太は堅守が魅力の内野手で、大谷真徳は左のアベレージヒッター、吉村旬平は身体能力の高いアスリート系外野手だ。
◎ルートインBCリーグ
甲信越地区を中心に、6球団が集まるBCリーグにも面白い選手がいる。投手では新潟アルビレックスBCの渡邉雄大。185センチの変則左腕で、プロでいうと背が高い森福允彦(ソフトバンク)といったところか。
野手では早稲田実業出身で、「腕立て王子」と呼ばれていた安田権守(やすだ・こんす)が、群馬ダイヤモンドペガサスでドラフト指名を待っている。早稲田大野球部を退部後、クラブチームを経て独立リーグに飛び込んだ異色選手は、リーグ屈指の外野手に成長した。また、福井ミラクルエレファンツの森亮太は、足のスペシャリストになる可能性を秘めた「一芸」選手。一塁駆け抜け3秒6というタイムは現役のNPB選手でも屈指のレベルで、イチロー(ヤンキース)の全盛期と肩を並べる。
◎ベースボールファーストリーグ
関西を拠点に活動を続けるベースボールファーストリーグ(BFL)は、現在、06ブルズと兵庫ブルーサンダーズ、姫路Go To WORLDの3球団が集まり、運営している。
BFLから選抜チームを結成して、NPBの2軍と交流戦を行うこともあり、9月には巨人や中日の2軍と対戦。その試合で、好投したのが、山川和大(芦屋大)だ。
山川は兵庫ブルーサンダーズと教育提携している芦屋大学の現役2年生。168センチと小柄ながら、キレの良いストレートが武器で、高校までは軟式野球部に所属していたという変わりダネだ。芦屋大は全日本大学野球連盟に加盟しておらず、プロ志望届を提出する必要はないことから、今ドラフトの“隠し玉”として注目されている。しかし、「学生」という立場が優先されるため、来春の卒業見込みが出ていない山川は、今回のドラフト対象選手からは外れる、と通達がNPBからあった。今年のドラフトで指名される可能性は低くなったが、ベースボールファーストリーグ、そして、山川和大の今後の動向を見守りたい。(週刊野球太郎編集部)
・2014年10月22日 スポニチアネックス提供記事
http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2014/10/22/kiji/K20141022009146740.html
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