巨人の杉内俊哉が、プロ野球22人目となる通算2000奪三振を記録した。投球回数1930回2/3での達成は、1967回2/3でマークした石井一久(元ヤクルトほか)を抜いて、プロ野球史上最速記録となった。
実は三振について、知っていそうで知らないルールがある。今回は誰もが知っている「三振」のルールにクローズアップしてみたい。
◎1球投げただけで1奪三振
1960(昭和35)年4月10日の国鉄vs巨人の試合で、8回表にリリーフ登板した国鉄の森滝義己は、1球投げただけで1奪三振を記録している。
2死一、二塁と巨人のチャンスで迎えた場面、打者は宮本敏雄のカウントは3ボール2ストライクのフルカウントとなった。ここで国鉄ベンチは森滝をマウンドに送る。だが巨人も宮本に代えて代打・国松彰を送った。
結果は森滝が投じた1球を国松が空振りし、三振に終わってしまった。このケースでは、「投手がカウント途中で交代した場合、2ボール、2ボール1ストライ ク、3ボール、3ボール1ストライク、3ボール2ストライクから四球になったとき以外は全て、リリーフした投手の記録とする」という野球規則が適用されたため、森滝は1球投げただけで、奪三振1を記録したのだった。
◎代打の代打が三振したら……
では打者の場合はどうだろうか。前出のケースで三振の記録がつくのは宮本か、それとも国松か。答えはなんと、宮本のほうである。
ボールカウントの途中で代打が出て、前の打者のカウントを引き継いだとき、実際に三振した打者に三振が記録されないケースがある。これは「打者が2ストラ イク後に打席から退き、代わった打者が三振に終わった場合、最初の打者に三振と打数を記録し、代わって出場した打者が三振以外で打撃を完了した場合は、全 て代わった打者の行為として扱う」という野球規則があるのだ。
つまり、2ストライクと追い込まれた打者の代わりに、代打で登場した打者は、三振したらその記録は前の打者につき、凡打やヒットになった場合は、その記録は代打の選手につくのだった。
◎代打の代打の代打が三振したら?
それでは少々、意地悪な問題を出そう。Aという打者が1ストライクを取られた後、Bという代打を送って2ストライクを取られた。その後、Cという代打を送りその打者が三振した場合、3人の打者のうち誰に三振が記録されるだろうか。
正解はBの打者である。野球規則では「2ストライク目を取られた打者に三振を記録する」とあり、このケースに当てはまるのだった。ちなみに日本のプロ野球では、未だこのケースはないといわれている。
参考文献/プロ野球記録大鑑・宇佐美徹也著
・2014年7月15日 gooニュース提供記事
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